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2008年3月22日 (土)

[10-28]-[10-35]

Science For All Americans 勝手に翻訳プロジェクト Chapter 10: HISTORICAL PERSPECTIVES

material と substance はきちんと訳し分けないといけないかなぁとかあれこれ考えたり、意味を取りにくい箇所がぽこぽこあったりで、だいぶ手間取ってしまいました。一応、material や substance など、括弧付きで原語を添えてあります。

[10-28]

UNDERSTANDING FIRE

For much of human history, fire was thought to be one of the four basic elements―along with earth, water, and air―out of which everything was made. Burning materials were thought to release the fire that they already contained. Until the eighteenth century, the prevailing scientific theory was that when any object burned, it gave off a substance that carried away weight. This view confirmed what people saw: When a heavy piece of wood was burned, all that was left was a residue of light ashes.

火についての理解

人類の歴史の中でほとんどの期間、火は四つの基本的元素(element)の一つだと考えられてきた。他の三つは、土、水、空気、であり、万物はこれら四つの元素によって構成されていると考えられていた。燃えている物(material)は、もともと内に持っていた火を放出しているのだと考えられていた。18世紀まで、広く認められていた科学理論は、物体(object)が燃える時には物質(substance)を放出しておりそれによって質量が運び去られる、というものだった。この見方は観察結果によって認められていた、実際、重い木の断片が燃えた後には、残されるのは軽い灰のみであったのだから。

[10-29]

Antoine Lavoisier, a French scientist who made most of his discoveries in the two decades after the American Revolution and was later executed as a victim of the French Revolution, conducted a series of experiments in which he accurately measured all of the substances involved in burning, including the gases used and the gases given off. His measurements demonstrated that the burning process was just the opposite of what people thought. He showed that when substances burn, there is no net gain or loss of weight. When wood burns, for example, the carbon and hydrogen in it combine with oxygen from the air to form water vapor and carbon dioxide, both invisible gases that escape into the air. The total weight of materials produced by burning (gases and ashes) is the same as the total weight of the reacting materials (wood and oxygen).

アントワーヌ・ラヴォアジエはフランスの科学者であり、アメリカ独立革命[1]からその後フランス革命の犠牲者として彼が処刑されるまでの20年間に、その発見のほとんどを為した。彼は一連の実験を行ない、その中で、燃焼に関わる物質(substance)を全て正確に測定した。燃える際に使われた気体やその結果放出された気体も含めてである。彼の測定結果は、燃焼過程は人々が考えていたのと全く反対であったことを示した。彼は、物質(substance)が燃える時には重さは正味では増加も減少もしない、ということを示したのである。例えば、木が燃える時には木の中に存在していた炭素と水素が空気中の酸素と結び付いて水蒸気と二酸化炭素を形成し、このどちらも空気中に放出されて目に見えない気体であった。燃えたことによって生じた物(material)(気体と灰)の合計の重さは、そこで反応した物(material)(木と酸素)の合計の重さと全く同じなのである。

[1] 日本語では普通は単に「アメリカ独立」でしょうけれど、原文ではわざわざフランス革命と対になっているので、「アメリカ独立革命」としておきました。

[10-30]

In unraveling the mystery of burning (a form of combustion), Lavoisier established the modern science of chemistry. Its predecessor, alchemy, had been a search for ways to transform matter―especially to turn lead into gold and to produce an elixir that would confer everlasting life. The search resulted in the accumulation of some descriptive knowledge about materials and processes, but it was unable to lead to an understanding of the nature of materials and how they interact.

物が燃えることの謎を(燃焼という形態を[1])解き明かす中で、ラヴォアジエは、化学という近代科学を確立した。その前身たる錬金術は、物質を変換する方法を、とりわけ鉛を黄金に変える方法と永遠の命をもたらすであろう霊薬を産み出す方法を、探し求めてきたものである。その探求の結果、物質(material)とその変換過程[2]について、知見は整理されまとめられ、積み上げられていったが、物質(material)の本質について、またそれらがいかに反応し合うかということについて、理解に到達することはできていなかった。

[1] ここでわざわざ、a form of combustion と言い換えられているのはどういう意味が込められているのか、ピンときていません。
[2] 原文では単に、knowledge about materials and processes なのですが、ここでの processes は錬金術に関して materials に続けて出てきている語なので、materials 同士の変換過程を指している語だと判断しました。

[10-31]

Lavoisier invented a whole new enterprise based on a theory of materials, physical laws, and quantitative methods. The intellectual centerpiece of the new science was the concept of the conservation of matter: Combustion and all other chemical processes consist of the interaction of substances such that the total mass of material after the reaction is exactly the same as before it.

ラヴォアジエは、物質(material)の理論と物理法則と計量可能な手法とに基づく新しい enterprise[1] をまるごと開発したのである。新しい科学の理論面における最も重要な項目は、質量保存という概念である。すなわち、燃焼も他のどんな化学反応過程も反応に関わる物の中に含まれる物質(substance)の相互作用によって成り立っており[2]、反応後の物(material)の全質量は、反応前の全質量と正確に等しいものとなるのである。

[1] enterprise は新しい科学分野を指している語なのでしょうけれど、日本語でどういった単語をあてはめたらいいかは、いい考えが浮かびませんでした。単なる「科学」という言葉が一番しっくり来るような気がするのですが。
[2] such that の前後の意味を繋げるために、substance について「反応に関わる物の中に含まれる物質」というように大きく言葉を補っています。後に出てくる material に含まれている substance という意味なのだと判断しました。

[10-32]

For such a radical change, the acceptance of the new chemistry was relatively rapid. One reason was that Lavoisier devised a system for naming substances and for describing their reactions with each other. Being able to make such explicit statements was itself an important step forward, for it encouraged quantitative studies and made possible the widespread dissemination of chemical discoveries without ambiguity. Furthermore, burning came to be seen simply as one example of a category of chemical reactions―oxidation―in which oxygen combines with other elements or compounds and releases energy.

このような急進的な変化に対して、この新しい化学の受容は比較的速く進んだ。その理由は、ラヴォアジエが物質(substance)の命名法とそれらの間の化学反応の表記法とを考案したからである。そのような明示的な記述を可能にすることは、それ自体が重要な前進であった。なぜならそれは、定量的な研究を促進するものであり、また、化学上の発見をあいまいさを含まずに広く伝えることを可能にするからである。なお燃焼は、酸素が他の元素(element)やその化合物(compound)と結び付いてエネルギーを放出する類の化学反応―酸化―の一例としてとらえられるようになった。

[10-33]

Another reason for the acceptance of the new chemistry was that it fit well with the atomic theory developed by English scientist John Dalton after reading Lavoisier's publications. Dalton elaborated on and refined the ancient Greek ideas of element, compound, atom, and molecule―concepts that Lavoisier had incorporated into his system. This mechanism for developing chemical combinations gave even more specificity to Lavoisier's system of principles. It provided the basis for expressing chemical behavior in quantitative terms.

新しい化学が受け入れられた別の理由は、これがドルトンの原子説とよく調和したことである。イギリスの科学者ジョン・ドルトンは、ラヴォアジエの著作を読んで、原子説を展開したのである。ドルトンは、古代ギリシア的な元素(element)の考え方(idea)から、元素の組み合わさった化合物(compound)、そして原子、分子へと連なっていく諸概念、すなわちラヴォアジエが彼の体系に組み込んだ諸概念を、練り上げ詳しく論じ直していったのである[1]。化合物(chemical combination)について詳しく説明するためのドルトンによる手法は[2]、元素(principle)についてのラヴォアジエの体系により一層の独自性を与えた。というのも、化学的な作用を定量的に書き表わすための基礎を提供したのである。

[1] 意訳というより作文になってしまったくらいの、意味を想像しての日本語になっています。ancient greek ideas of element, compund, atom, and molecule で、原子や分子の古代ギリシア的な考え、と言ってしまうとピンとこない言い方になってしまうし、そもそも分子はドルトンの後に出てきた概念だし。ということで、古代ギリシアに端を発する、万物は元素によって構成されている、という考え方を、近代的な考え方へ練り直していったのがドルトンなのだ、という意味なのだと読んでの訳文になっています。
[2] This mechanism は直前の内容ではなく、ドルトンの原子説に基づいた説明の仕方を指しているのだと判断しました。

[10-34]

Thus, for example, when wood burns, each atom of the element carbon combines with two atoms of the element oxygen to form one molecule of the compound carbon dioxide, releasing energy in the process. Flames or high temperatures, however, need not be involved in oxidation reactions. Rusting and the metabolism of sugars in the body are examples of oxidation that occurs at room temperature.

この体系に従って、例えば木が燃える時には、元素の一つである炭素の原子それぞれがやはり元素である酸素の原子二個と結び付き、化合物である二酸化炭素の分子一個を形成し[1]、その過程でエネルギーが放出される、と説明される。もっとも、炎や高い温度は必ずしも酸化反応に含まれる必要はない。錆や、体内での糖分の代謝は、室温で起こる酸化の例である。

[1] かなりくどい日本語になってしまっていますが、element と atom とそれぞれの概念を込めようとしてこうなってしまいました。element は古代ギリシア以来の抽象的な要素としての元素であり、その実体としての atom :原子 ということで。もっと文章を整えられればいいのですが。

[10-35]

In the three centuries since Lavoisier and Dalton, the system has been vastly extended to account for the configuration taken by atoms when they bond to one another and to describe the inner workings of atoms that account for why they bond as they do.

ラヴォアジエとドルトン以来三世紀に渡って、この体系は、原子同士が互いに結合する時のそれら原子による分子構造を説明するために、またそれら原子がなぜそのように結合するのかを理由付ける原子内部の作用について詳しく記述するために、大きく拡張されていった。

自信のない箇所も多いので、今回は特にツッコミ大歓迎です。

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コメント

[10-30]
> burning (a form of combustion)
"burning"が炎を出して燃えることで、"combustion"は燃焼一般で、これは『combustionの一形態であるburning』ではないでしょうか。訳語がうまく思いつきませんが。『燃焼の一形態である火の謎』としてしまうのも手でしょうか。

投稿: hoyt | 2008年3月23日 (日) 03時55分

うーん、この部分はまだ悩んでます。combustion は結構固い言葉だと思うので、燃焼という反応過程、というようなニュアンスではないかと考えています。対して burning は昔ながらの素朴な「燃えること」。で、form は一形態というより、燃焼過程の詳しい中身を指しているんではないかと考えているところです。つまり、「物が燃えることの謎(燃焼過程がどのような形で行われるか)を解き明かす中で」かなぁ、と。

投稿: Yamanaka | 2008年3月25日 (火) 11時26分

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