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2008年3月29日 (土)

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Science For All Americans 勝手に翻訳プロジェクト Chapter 10: HISTORICAL PERSPECTIVES

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HARNESSING POWER

The term "Industrial Revolution" refers to a long period in history during which vast changes occurred in how things were made and in how society was organized. The shift was from a rural handicraft economy to an urban, manufacturing one.

動力の活用

"産業革命"という言葉は、いろいろな物がどのように作られるか、また社会がどのように組織されるか、という点において非常に大きな変化が起こった歴史上の長い期間を指している。その変遷は、農村の手工芸的経済から、都会の製造業へ、というものであった。

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The first changes occurred in the British textile industry in the nineteenth century. Until then, fabrics were made in homes, using essentially the same techniques and tools that had been used for centuries. The machines—like all of the tools of the time—were small, handmade, and powered by muscle, wind, or running water. That picture was radically and irreversibly changed by a series of inventions for spinning and weaving and for using energy resources. Machinery replaced some human crafts; coal replaced humans and animals as the source of power to run machines; and the centralized factory system replaced the distributed, home-centered system of production.

最初の変化は、19世紀にイギリスの織物産業で起こった。それまで織物は、何世紀もの間使われ続けてきたものと本質的には同じ技術と道具を使って、各家庭で作られていた。そこで使われていた機械は、その時代の道具が全てそうだったように、小さくて手製であり、人の手や、風、または流れる水を動力としていた。そのような状況は、糸を紡ぐことと布を織ること、そしてエネルギー資源を用いることについての一連の発明によって、急激に、そして元に戻せない程に変化した。機械設備が人の手による工芸に取って代わり、石炭が機械を走らせる動力源としての人間や動物に取って代わり、そして集中的な工場のシステムが、各家庭が中心だった分散的な生産システムに取って代わった。

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At the heart of the Industrial Revolution was the invention and improvement of the steam engine. A steam engine is a device for changing chemical energy into mechanical work: Fuel is burned, and the heat it gives off is used to turn water into steam, which in turn is used to drive wheels or levers. Steam engines were first developed by inventors in response to the practical need to pump floodwater out of coal and ore mines. After Scottish inventor James Watt greatly improved the steam engine, it also quickly came to be used to drive machines in factories; to move coal in coal mines; and to power railroad locomotives, ships, and later the first automobiles.

産業革命の核と言うべき重要な要素だったのは、蒸気機関の発明と改良だった。蒸気機関は化学的エネルギーを機械的エネルギーへと変換するための装置である。つまり、燃料が燃え、放出された熱が水を蒸気に変えるために用いられ、その蒸気が今度は車輪やレバーを駆動するために用いられるのである。蒸気機関は最初に、石炭や鉱石の鉱山から溜まってしまった水を排出するためという実用上の必要性に応えた発明家によって開発された。スコットランドの発明家ジェームズ・ワットが蒸気機関をすばらしく改良した後は、蒸気機関はすぐに、工場で機械を駆動するためにも用いられるようになり、また、鉱山で石炭を運ぶためにも、そして鉄道の機関車や船、やがては最初の自動車を動かすためにも用いられるようになった。

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The Industrial Revolution happened first in Great Britain—for several reasons: the British inclination to apply scientific knowledge to practical affairs; a political system that favored industrial development; availability of raw materials, especially from the many parts of the British Empire; and the world's greatest merchant fleet, which gave the British access to additional raw materials (such as cotton and wood) and to huge markets for selling textiles. The British also had experienced the introduction of innovations in agriculture, such as cheap plows, which made it possible for fewer workers to produce more food, freeing others to work in the new factories.

産業革命は最初にイギリスで起こった。これにはいくつかの理由がある。すなわち、科学的知識を実際的な仕事に応用しようとするイギリスにおける傾向、工業発展を支持した政治体制[1]、原料(raw materials)[2]が、特に大英帝国の多くの場所からこれらがもたらされ、利用可能だったこと、そしてイギリスがさらなる原料(raw materials)(綿花や木材)を利用することや織物の売り付け先となる巨大な市場への往来を可能にした世界最大規模の商業艦隊、である。イギリスはまた、農業において、安価な耕作器[3]のような新機軸を導入することを経験していた。これは以前よりも少ない労働者でより多くの食料を生産することを可能にし、その他の労働者を新しい工場で働くことへと開放したのである。

[1] political system というと政治上の制度のように思えてしまうのですが、ここでは当時の政権が工業発展を支持したという意味だと読むべきだと思うので、思い切って「政府」と意訳してしまってもいいかもしれません。
[2] raw materials なのですが、とりあえず「原料」と訳してありますが、もうちょっと広い意味での資源というべきかとも迷っています。
[3] 原文での cheap plows なのですが、直訳すれば「安い鋤」となります。ですが鋤のような比較的単純な農具が安価になったからといってそれが innovation という言葉で語られるような変化の事例とはとても思えないのです。実際この時代の農業革命の中心は農法の改良だったはずですし。辞書によれば plow には耕作地という意味もあるようですが、「安い耕作地」というのもこれまた innovation の事例としてはよくわからない内容になってしまいます。というわけで、ここでの原文がどんな事例を提示しようとしていたのか想像できていません。少し抽象的に「楽な耕作」というような意味なのだろうかとも想像しましたが、これでは such as と語られるような具体例になっていませんし……

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The economic and social consequences were profound. Because the new machines of production were expensive, they were accessible mainly to people with large amounts of money, which left out most families. Workshops outside the home that brought workers and machines together resulted in, and grew into, factories—first in textiles and then in other industries. Relatively unskilled workers could tend the new machines, unlike the traditional crafts that required skills learned by long apprenticeship. So surplus farm workers and children could be employed to work for wages.

経済的また社会的な影響は重大であった。新しい生産機械は高価であったため、それらは主には大量の資金を持っている人々に利用可能なものであり、ほとんどの家庭では手の届かないものだった[1]。労働者と機械とを一緒に集めた家庭外の作業場が、結果として工場になるか、工場へと発展していった、最初は織物産業において、そしてその後に他の産業においても。長い見習い期間をかけて習得されるような技術を必要とした伝統的な工芸とは違い、比較的未熟な労働者でも新しい機械は扱うことができた。そのため、余剰となった農業労働者や子供達が、雇用されて稼ぎのために働くことが可能だったのである。

[1] 辞書的な意味で「ほとんどの家庭は除け者にされていた」ではあんまりなので意訳しておきました。

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The Industrial Revolution spread throughout Western Europe and across the Atlantic to North America. Consequently, the nineteenth century was marked in the Western world by increased productivity and the ascendancy of the capitalistic organization of industry. The changes were accompanied by the growth of large, complex, and interrelated industries, and the rapid growth in both total population and a shift from rural to urban areas. There arose a growing tension between, on the one hand, those who controlled and profited from production and, on the other hand, the laborers who worked for wages, which were barely enough to sustain life. To a substantial degree, the major political ideologies of the twentieth century grew out of the economic manifestations of the Industrial Revolution.

産業革命は西ヨーロッパ中に拡がり、そして大西洋を横断して北アメリカへと拡がった。これによって、西欧社会において、19世紀は生産性の向上及び資本家の組織の優位性によって特徴付けらる時代となった。この変化は、巨大で複雑で相互に関係している各種産業の成長、そして全人口の急速な増加と農村部から都市部へ人口の急速な移動とを伴なっていた。そこでは高まっていく緊張が生じもした。一方には、管理をし、生産から利益を得ていた人々がおり、もう一方には、かろうじて食べていけるだけの賃金のために働いている労働者がいたのである。かなりの部分において、20世紀の主要な政治的イデオロギーは、産業革命によって経済面に現われた影響に端を発しているのである。

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In a narrow sense, the Industrial Revolution refers to a particular episode in history. But looked at more broadly, it is far from over. From its beginnings in Great Britain, industrialization spread to some parts of the world much faster than to others, and is only now reaching some. As it reaches new countries, its economic, political, and social effects have usually been as dramatic as those that occurred in nineteenth-century Europe and North America, but with details shaped by local circumstances.

狭い見方をすれば、産業革命は歴史上のある特定のできごとを指す言葉である。しかしより広く見れば産業革命はまだ終わっていない。イギリスにおいてのその始まりから、工業化は世界のある地域へは他の地域へよりもずっと速く拡がり、そしてある地域へはようやく届いたばかりである。工業化が新たな国へと到達した時には、地域的な諸事情によって生じる細かな差異は伴なうものの、通常は、19世紀にヨーロッパや北アメリカで起きたのと同じくらい、経済的、政治的、社会的な影響は劇的に生じている。

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Moreover, the revolution expanded beyond steam power and the textile industry to incorporate a series of new technological developments, each of which has had its own enormous impact on how people live. In turn, electric, electronic, and computer technologies have radically changed transportation, communications, manufacturing, and health and other technologies; have changed patterns of work and recreation; and have led to greater knowledge of how the world works. (The pace of change in newly industrializing countries may be even greater because the successive waves of innovation arrive more closely spaced in time.) In its own way, each of these continuations of the Industrial Revolution has exhibited the inevitable and growing interdependence of science and technology.

さらにはこの革命は、蒸気力と織物産業を超えて、人々の生活の仕方においてそれぞれがその巨大な影響を及ぼしてきた一連の新しい技術的発展を組み込むことへと展開していった。代わる代わる順番に、電気技術、電子技術、そしてコンピューターテクノロジーが、交通、通信、製造、そして健康に関わる技術や他の諸々の技術を劇的に変えていき、仕事や余暇のあり方を変え、また世界がどのように動いているかということについてのさらに深い多くの理解や認識[1]へと導いていったのである(新たに工業化が進んでいる国々での変化の進みはさらに速くになるかもしれない、というのも次々続いていく革新の波がより短い間隔でやって来るからである)。このようにして、継続しているこれら産業革命のそれぞれが、不可避の、そしてなお成長中の、科学と技術の相互依存性を顕に示しているのである。

[1] greater knowledge を一言では訳しかねてこのような言葉にしてみましたが、ニュアンスとしてはこれで適当でしょうかね? 他に良い表現があればぜひ使わせてもらいたいところではあります。

こんなところで。

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